桜の咲く季節になると思い出す。
俺は、小学校からの悪友3人とよくつるんで、高校生になっても遊んでいた。
A、B、Cの悪友3人と俺。
そしてもう一人、同じく小学校からの付き合いがある“さくら”って言う女と。
さくらは俺らの中では、アイドルって程羨望の存在ではなかったが、
他に女の子との付き合いも無かった中、そこそこ清純で可愛らしかったこともあって、
『付き合いたい』という思いが全員の中に有りつつも、それをどこかお互いに悟られまいとしていた。
そんな歯がゆい関係だった。
高校3年の夏、俺ら5人は夏祭りのあと酒を買い、近所の公園で飲んだ。
酒の勢いもあってか、話題はいつしか『肝試し』になっていた。
近くの林の中には塚があり、塚の前で手を合わせると恐ろしい姿の女が現れ、女の姿を見た者は発狂するという、
他愛もない噂が当時、半ば伝説のように伝播していたからだ。
【後味の悪い話】守れなかった存在続きを読む