山の飢餓

940 :本当にあった怖い名無し:2010/03/21(日) 16:31:23 ID:Mtt+keyT0
 
10年ほど前になるが、一人で山登りして下山する途中。 
突然の雨に足止めされて、でかい木の下で雨宿りをしていた。 
ふと、食べ残しのおにぎりを食べながら、ボーッとしていた俺のすぐ近くで、人の声が聞こえた。 
見回したが、誰もいない。
気のせいかと思ったが、雨音に混じって「左ぃ・・・左ぃ・・・」と聞こえる。 
薄気味悪いので無視していると、雨が小降りになって来た。 
逃げる様に木の下から離れたが、去り際に自分のいた左側をチラリと確認。 
そこには、特に何も無かった。


941 :本当にあった怖い名無し:2010/03/21(日) 16:32:13 ID:Mtt+keyT0
 
登山口に着いた頃には、気のせいだったと思い始めていた。 
妙に腹が減ったので、近くの飲食店に直行。 
客は俺以外におらず、時間的にも店が閉まるギリギリくらいだったと思う。 

天丼大盛りと蕎麦を注文したが、店員の様子が少しおかしい。 
閉店前にKYだったかと思っていると、厨房から男性が2人出て来た。 
料理は持っておらず、年配の男性の方が開口一番言った。 
「あんた、何して来た?」
?という顔をしている俺に、もう一人の中年男性の方が尋ねる。 
「山で何か変な事なかったか?」
俺は木の下で聞いた声の事を、最初に思い出した。 
その事を話すと、2人は納得した様子で厨房に戻って行った。 

しばらくして、注文の料理+山菜の定食みたいなものが運ばれて来る。 
不思議に思ったが、ペロリと完食した自分にも驚いた。 




942 :本当にあった怖い名無し:2010/03/21(日) 16:46:46 ID:Mtt+keyT0

 
食事を終えた頃、ヨボヨボの婆さんが来店。 
客かと思っていたが、再び厨房から年配の男性が来て、俺の方に婆さんを誘導した。 
何事かと思っていると、婆さんは俺に向かって何やら祈祷をして、
最後に背中を思いっきり叩いて店を出て行った。 
物凄い衝撃だったが、その割りに痛みは感じなかったのを覚えている。 
ただ、満腹感もあってか、しばらくは動けず声も出なかった。 

当然ながら、婆さんを店先で見送った年配の男性に、一連の出来事について尋ねた。 
どうやら、俺には何かが憑いており、それがパッと見て分かったらしい。 
正体は分からないが、『それ』は強い飢餓感を持っているのだという。 
かなり昔から存在しており、婆さんはそれ専門の祈祷師みたいな役だった。 
憑かれた奴の大半は、山中のお堂で悪さをした結果らしく、俺の様なケースは結構珍しいものなんだとか。 
『左ぃ』ってのは左方向ではなく、『ひだるい』という方言だった。ひもじい、腹減ったという意味。


943 :本当にあった怖い名無し:2010/03/21(日) 16:57:44 ID:Mtt+keyT0
 
食事代は無料だった。 
本来なら、注文分だけで2000円くらいだったのでラッキーだった。 

それから、約半年後。俺は再度同じ山に登った。 
教えられたお堂の場所に食べ物を供えて、軽く御祈りして下山。 
別に勧められたわけではなかったが、何故かそういう気分になって行った。 
登山口の同じ店で食事に行くと、向こうも覚えていたらしく、
俺がお供えをして来たと言ったら、食事を少しサービスしてくれた。 

それ以後、半年~一年の周期で変なものを見る様になり、それを機に登山に行くのが習慣になってしまった。


946 :本当にあった怖い名無し:2010/03/21(日) 19:28:52 ID:cDKX3eQ70
 
変なものを見る様に成ったってkwsk


950 :本当にあった怖い名無し:2010/03/22(月) 19:37:25 ID:Ly6tbxrc0
 
>>946 
最初に見たのは、俺の部屋に漂っていた『もや』。
煙よりも薄かったが、明るい中でもハッキリと見る事が出来た。 
『もや』の中に、山水画の様にお堂の風景が浮かんでいたので、
又お供えをしに来いという、催促の合図なのだと思った。 
大抵は『もや』の形だが、一度だけ人間の形で来た事があった。 

その日は父親の葬儀が終わった日で、親族が帰ってやっと一段落着いた頃、妙に喉が渇いたので台所に行った。
家の台所と居間は繋がっていて、グラスに水を注いでいると、居間の方から視線を感じたので顔を向けた。 
居間には和服の女性が一人座っており、その後ろに大勢の男性が並んで座っていた。 
それほど広くないフローリングの居間だったが、男性は数十人いたと思う。 
居間の奥行きがその部分だけ広がっている様な、錯覚じみた光景だった。 
目が合うと、女性が最初に深々と頭を下げて、男性も全員それに続いた。 
グラスの水を一口飲むと、全部消えていた。 


951 :本当にあった怖い名無し:2010/03/22(月) 19:46:23 ID:Ly6tbxrc0
 
消えた後に『もや』が少し漂っていたので、お堂関係だと思った。 
さすがに、それからすぐお供えに行く訳には行かなかったが、
半年程して山に行った時に、何となく思い出していると、
お堂の中から何かいい香りがして来て、誰かが中にいる気配がした。 
少しびびって確かめられなかったが、悪い気配では無かったと思う。 
女性は赤地に金刺繍の立派な服を着ていたので、偉い人かも知れない。 
男性は全員黒っぽい服を着ていたが、マゲは結っていなかったので、侍などでは無い気がする。 
昔の人の雰囲気はあったが、いつの時代かと言われると分かりかねる。