トイレのドアを叩く者

900 :本当にあった怖い名無し:2005/06/08(水) 21:13:32 ID:90Cs7FxW0
 
今年の黄金週間におこった出来事。

俺以外の家族が二泊三日の旅行に行ってしまった。
家は結構広い二階建ての一戸建てで、昔からあるものを親父が買って家族で住んでいた。
この家には一階と二階にトイレがそれぞれ一つずつあった。
俺の部屋は二階にあるから、俺はいつも二階のトイレを使っていた。

その日は学校の特別補習があって、家に帰るのが遅くなってしまった。
学校を出たのが七時半ぐらい。家に着くのはいつもだいたい八時ぐらい。
遅くなっても今日と明日は俺一人だし、立ち読みでもして帰るかな・・・
などと考えながら道を走っていると、急に腹が痛くなった。
これはヤバイ!!もうあと少しで出る!!
と思いながら自転車を全速力で走らせるが、この辺りには公園もコンビニもない。
野糞なんて絶対イヤだったので、腹の痛みに耐えながら家を目指した。
全速力で飛ばしたのですぐに家に着いた。


901 :本当にあった怖い名無し:2005/06/08(水) 21:14:13 ID:90Cs7FxW0
 
家に着くなり一階のトイレに入り、カギをかけて用を足そうと便座に座ると、
「ドンドン!!」「ドンドン!!」と、ものすごい勢いで扉が叩かれた。
驚いた俺は用を足すのも忘れ、しばらく「ドンドン!!」というドアが叩かれる音を聞いていた。
(なぜか恐怖心はなかった。一瞬驚いただけ)
全然ドアを叩く音は止まないので、呆然として音を聞いていると、急に音が止み、
ものすごいでかい声でいきなり叫び声がした。
「〇×△□#$★▽~!!」
なにを言っているのかは全然聞き取れなかった。
しかし、その言葉を聞いた瞬間、なぜかものすごい恐怖に襲われた。
そして、ドアを叩く音再開。
俺は頭を抑え、ガタガタ震えながら音が止むのを待った。
頭の中では、なぜかお経や神頼みの言葉ではなく、
『ここは俺が使っていますから、どうか二階のトイレに行ってください!!』と祈っていた。
そうすると俺の祈りが通じたのか、音が止み階段を駆け上る音が。
俺は音が止んだ後もしばらくトイレの中にいた。
腹の痛みも便意もすでに消えていた。 




902 :本当にあった怖い名無し:2005/06/08(水) 21:14:40 ID:90Cs7FxW0

 
しばらくして気持ちも落ち着いてきたので、とりあえずトイレから出ることに。
そして、そのままなにも持たず家を出て、友人の家に行った。
事情を話したら、友人は今晩泊めてくれるとの事。
でも、明日から友人一家は出かけるので、明日は家に帰らなければならない。

そして次の日、俺は友人に礼を言い家に帰る・・・予定であったが、
いざとなると勇気が出ず、しばらくファミレスに行ったり、本屋で立ち読みしたりした。
しかし、明日はまた補習があるので、家にはどうしても帰らなければならない。
意を決した俺は、家に帰ることにした。

まだ昼の三時ぐらいだったので周囲は明るかった。
家に入ってまず目についたものは、無造作に投げ捨てられたバック。
しかし、明日の補習に必要な物は二階の俺の部屋にある。
しばらくその場に座り込み考えたが、結局二階に上がることにした。

そして、二階に上がろうと階段に足をかけた瞬間、急に腹に痛みが!!それも昨日の比じゃない。
『もう出る!!もれる!!』と思い、すぐに一階のトイレへ。
しかし、なぜかカギが掛かっていて開かない。俺は全力で扉を叩き続けた。しかし扉は開かない。
「あけてくれ~!!」と、誰が中に入ってるわけでもないのに大声もあげた。そしてまた扉を叩きはじめた。
その瞬間気づいた。「これって昨日と同じじゃないか」と。
「じゃあ、昨日扉を叩いていたのは俺!?」
わけが分からないまま、とりあえず二階のトイレへ・・・行こうとしたが、すごく嫌な予感がしたのでお隣の家へ。

お隣の人は俺の表情を見るなり、「どうしたの!?」と聞いてきた。
とりあえず俺は「トイレ貸して下さい!!」と言い、トイレを貸してもらった。
トイレから出るとお隣さんは困惑した様子だったが、
俺が「なんでもありません・・・」と言うと、それ以上は聞かなかった。
結局その日はファミレスで夜をすごした。

次の日、家の前で家族の帰りを待ち、事情を話したが、誰も信じてくれなかった。