ループする光景

992 :本当にあった怖い名無し:2012/01/26(木) 23:49:54.00 ID:okHVoRZo0
 
休日の夕方に友達3人で、温泉宿に向かう山道を車で走ってた。
車の持主が運転、も一人は後部座席、俺が地図を見ていた。
地図上では一本道で、トンネルを3つ通らないといけなくて、2つ目まで何の疑問もなく通り過ぎた。
そして「あとトンネル一つ」とか俺が言ったら、
トンネルの手前に集落が左手に見えて、広場で祭が行われてるように見えた。
今思えば、窓も閉め切ってたのに、太鼓や人の声が異様な位大きく聞こえた気がするが、
温泉宿はもう近いし、祭に寄ってみることにした。


992 :本当にあった怖い名無し:2012/01/26(木) 23:49:54.00 ID:okHVoRZo0

集落に向かう道は細く、田んぼの中を通って、すぐさま祭が行われてた広場に着いた。
すると、さっきまで祭囃子が聞こえていたのに人っ子1人見たあらず、音もいつの間にか消えていた。
そして、まるで長い間放置されたかのような祭のセットだけが佇んでいた。
その時点でかなり寒気がして、足早に立ち去ることにした。

車の中では「あれなんだったんだろ、ちょっと怖いよな」って話をしながら、
車は本来のルートに戻り、開なんとかトンネルって名前の3つ目のトンネルを通り抜けた。
この時の風景はセピア色で、今でも頭に焼き付いてる。




993 :本当にあった怖い名無し:2012/01/26(木) 23:50:39.66 ID:okHVoRZo0

 
運転手が酷く怯えた声で、
「ここ、さっき通ったよな?」 
俺にも後部座席の友達にも、確かに見覚えがあった。
それでも車を進めて行くと、さっき通ったハズの集落の祭が見えてきた。祭囃子も聞こえてきた。
俺たちは口々に、「道間違えたんだろ」とか「地図が間違ってる」とか言い合いになった。
だが結局、地図の通りだと大きい道は一本道だし、進むしか無いから車を進めていった。

そしてまたトンネルを抜けたが、また同じ風景だった。
流石に尋常じゃないから、俺たちはほぼ無言になり、一旦車を停め外に出た。
そして、トンネルの反対側からトンネルの名前を確かめた。
開なんとかトンネルとなっていた。
俺たちはどうすることもできないから、一旦戻ることに決めた。

トンネルを戻ると、何故か右側にはあるハズの集落が無く祭も無かった。
そして正面からトンネルの名前を確かめると、開なんとかトンネルとなっていた。
俺たちはやはりほぼ無言で再び車に乗り込み、そのトンネルをまた通った。
すると、さっきまでとは違う開けた風景が目の前に広がり、俺たちは安堵し、温泉宿に向かった。

その後、俺たちは不幸に見舞われたとかは無いが、
俺はそれ以降、その2人とは疎遠になってしまった。