沖の海

957 :本当にあった怖い名無し:2012/04/23(月) 19:59:29.19 ID:RrOWoFmuP
 
俺の親父とお袋の話を書かせてくれ。実体験じゃなくて申し訳無いが・・・・ 
俺の親父とお袋がまだ結婚してなくて、付き合ってた頃の話。 

ある夏の日、二人は海水浴デートに出かけた。 
二人とも海を泳いで、沖のほうに泳いで行ったんだって。 
その時沖の方に向かって海流があって、それに乗ってしまってかなりの速さで沖まで進んだ。 


958 :続き:2012/04/23(月) 20:09:25.16 ID:RrOWoFmuP
 
かなり危険な状態だけど、
「おほw凄い速さで泳げるじゃん!ww」と、二人ともはしゃぎながら泳いでいたそうだ。危険な海流とは想像もせずに。 


959 :続き:2012/04/23(月) 20:11:51.91 ID:RrOWoFmuP
 
ふと気が付くと、かなり沖の方まで泳いできてしまっていた。
これはまずいと二人とも思い、引き返そうとしたが、
上記のとおり海流があるので、泳いでも泳いでも浜まで辿り着けない。 
体力も限界、助けを呼んでも浜まで遠すぎて声が届かない。 




960 :続き:2012/04/23(月) 20:15:51.11 ID:RrOWoFmuP

 
もう死ぬかもしれない、そう思った時だった。 
誰か見知らぬおじさんに腕をひっぱられたそうだ。 
かなりガタイの良いおじさんだったみたいで、二人を引っ張りながらグイグイ浜まで泳いでくれている。 


962 :続き:2012/04/23(月) 20:20:20.78 ID:RrOWoFmuP
 
いくら二人とも若いって言っても、成人した大人二人を引っ張りながら浜まで泳いでいくおじさん。 
しかも海流を物ともせずに、だ。
親父は異常な光景と感じていたが、疲労と、助かったという安堵でそれどころじゃなかった。 

浜まで着くと、疲労と安堵でへたり込んでしまった親父。 
すぐさま感謝の言葉を述べようとした。


963 :続き:2012/04/23(月) 20:22:26.10 ID:RrOWoFmuP
 
親父「はぁ・・・はぁ・・・・ありがとうございまし・・・・あれ!?」 
その人はいなくなっていた。
2,3回呼吸した間に、そのおじさんはこつぜんと消えていた。 

そのあとはデートなんて後回しで、一日中そのおじさんを捜した。 
浜の端っこから端っこまで何時間も捜し歩いたが、結局見つからなかった。


964 :続き:2012/04/23(月) 20:24:50.33 ID:RrOWoFmuP
 
親父は、
「あの時おじさんに助けられていなかったら、お前も生まれてなかったかもなぁ・・・」と言う。 
二人とも同時に体験してることだから、親父の妄言ではないと思う。 

俺もそのおじさんに感謝した。助けてくれてありがとう、と。