山頂の剣

771 :kagiroi ◆KooL91/0VI :04/12/07 23:22:17 ID:6+0ipR0e

どこの地方の山にも伝説のような話は残っていて、 
その中にたまに聞く話で、山頂の剣、みたいなのがある。 


771 :kagiroi ◆KooL91/0VI :04/12/07 23:22:17 ID:6+0ipR0e

ある山歩きの好きな知人が、東北のそんなに有名でもない山で、初夏の頃に登山に出かけた。
地元の登山家にルートを聞き、地図とコンパスを手に半日ほどの行程だった。 
仲間二人と登山道をたどって山頂を目指した。 

山頂に着くと、ルートマップに無い獣道を見つけた。 
知らない山で迷うのも嫌なので無視しようと思っていると、木々の間から立て札のようなものが見えた。 
文字はすでにかすれて読めないが、その先に何かあるようだった。 
好奇心から少し入っていくと、見晴らしになっていてそこには大きな岩があった。 
注連縄に柵、あぁ、何か祭ってあるんだなと思って回り込んでみると、
その岩の上に横たわる人影。初夏だというのに冬山装備で岩の下を覗き込むようにしている。
声をかけてみた。「何かあるんですか?」答えない。 
近づいてみるとすでに白骨化している。それを見て全員が思わず息を呑んだ。 
遭難者は珍しくなかったが彼等を驚かせたのは、その遺体の背中には錆びた鉄剣が突き立っていた。
急いで麓の警察に連絡。 



771 :kagiroi ◆KooL91/0VI :04/12/07 23:22:17 ID:6+0ipR0e

じきに大勢の人が上ってきて現場は騒然としていた。 
「あぁ、殺人事件に巻き込まれるとは・・・」そう思っていると少し様子が違った。 
地元の人々が、「またか」というような事を話している。 
身に着けていた服を切り裂いて白骨体をその岩から下ろすと、 
さっきは気づかなかったが、足元に倒れていた立て札を誰かが立て直している。 
「また馬鹿が触りにいったんだな」そうつぶやくと岩を拝んで立ち去った。 
立て札に目をやるとこう書かれていた。 
『鬼の首落とし。立入禁止。触るな。』
いつの頃に立てられたものかは分からないが、
すでに数百年は経っているという大きな鉄剣はその昔、この山を荒らしていた鬼の首をはねたものだという。 
抜けない、切れない鉄剣。
数年に一人は犠牲者が出るという。