後輩の話。
学生時代、仲間二人で入山している時に遭難したのだという。
季節は秋の終わりで、小雨が降り続いていた。
道を見失い、雨に打たれ続けた彼らは、疲労困憊だったそうだ。
歩けなくなり繁みの中で休んでいると、仲間が船を漕ぎ始めた。
無理もないな。そう思っているうち、眠っている仲間の口元が蠢きだした。
と、いきなり口がパッカリと開き、一匹の蝶が這い出してくる。
唖然として見ていると、蝶はどこかへ飛んでいってしまった。
彼はどうしてか、仲間を揺り起こすことができなかったという。
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